脊柱管狭窄症が改善！

茨城県土浦市　若葉接骨院　伊藤清明　院長

２年前に脊柱管狭窄症と診断された男性（６９代）は、病院で電気治療を続けてきたけれど症状は殆ど改善しなかったといいます。

具体的な症状は立ちっぱなしの状態が続いたり体を前屈した際に痛みが出るのに加え、右の臀部から右脚の外側後面にしびれや突っ張り感があり、特に夕方から夜にかけて酷くなるというものでした。

ただ、入浴すると症状は緩和するそうで、病院では「手術をするレベルではないのであまり気にせず普通に生活していて下さい」と言われ、電気以外の治療はなかったということです。

しかし、本人はいつまでも消えない症状がとても気になり、何とかしたいという切実な思いから当院を訪ねてみえたのでした。
この男性のように入浴で症状が軽減するケースではビワ温灸がとても有効です。
但し、施術の効果をより高めるには痛みやしびれが何に起因しているかをしっかり見極めることが必要となります。
そのための検査を我々は疼痛誘発動作と呼びます。
この方の場合、体を前かがみにすると痛みやしびれが誘発されるのですが、施術者が右の大腰筋を押しながら前屈させたときにはその症状は消えました。

大腰筋に沿った腹部の縦のライン、筋膜でいうとディープフロントライン、経絡でいうと太陰脾経に問題が生じていることが把握できたので、そこにビワ温灸を施しました。
大腰筋は腹部の深部に位置するので患者さんを上向きに寝かせ、両膝を立てた状態で施術することがポイントとなります。
膝を立てることにより前面にある腹直筋が緩むのです。腹直筋の奥に大腰筋があるのでビワ温灸期のヘッドを保持し、患者さんが熱いと感じた時点で離します。
右側のディープフロントラインに沿って温灸器を上下に移動させながら３０分ほど当てていきました。
左側には当てません。なぜなら左側でも疼痛誘発動作を行いましたが左の大腰筋を押して前屈動作をしてみても痛みとしびれは消えなかったのです。この場合、ビワ温灸を施してもあまり意味がありません。
右側のみ、二つの温灸器を縦に並べて当てていきました。温灸器は一つでも十分ですが、時間短縮には２個使いが有効です。

ビワ温灸とセルフケアの併用で症状が解消

施術後、確認のため再度体を前屈の姿勢を取ってもらうと症状は完全に消えていました。
因みにこの方の場合、両足を揃えての前屈でした。足を肩幅に開いて前屈するより揃えた時の方が痛みやしびれが強く出たからで、この検査では最も症状が強く出る動作を敢えて取ることが大切です。
当院での施術と併せ、ご自宅でのセルフケアとして入浴後に大腰筋の柔軟性を高めるストレッチングを行えるようご指導しました。
初回の施術で、すでに前屈痛はかなり軽減していました。
経ちっぱなしで起こる痛みはそういう状況にならないと分かりにくいのですが、例えば初めは１５分程度で痛みが出ていたものが３０分経っても大丈夫になるなど徐々に改善が進み、今では長時間立ちっぱなしでも違和感はあるものの痛みは出なくなっています。
初めの３週間は週１回のペース、それ以降は安定してきたので月２回の施術に切り換えました。
現在は痛み、しびれ、突っ張り感はありません。もはや予防という感覚で通っておられます。
しびれに伴う痛みの表現は人それぞれです。

この方は鋭い痛みを訴えておられたので症状としては強く、相当不快であったと推測できます。
元々ウォーキングが好きな方で、当院に来られてから初めのうちは十分程度から歩き始め、大丈夫そうなので１時間程度歩いておられるようでです。
先日は「自信がついたから軽い山登りをしました」と嬉しそうに話しておられました。
臨床上、腰や脚に症状が出ている場合、どうしても痛みのある患部にビワ温灸を施しがちですが、今回のように意外とお腹の筋肉が減っているせいで腰や脚に症状が出ているケースが多く見受けられます。
従って今回は右のディープフロントラインに沿ってのみ施術し、臀部や脚などの患部には一切ビワ温灸を施していません。
実は、慢性の腰痛や坐骨神経痛などでも大腰筋が深く関係していることがあります。
ビワ温灸で腹部を温めることは免疫を高めることに繋がり様々な症状で有効とされています。同時に大腰筋が絡む症状ではしっかりと圧をかけ、筋肉を緩めるように当てることがポイントになります。
この方は疼痛誘発動作により大腰筋で引っ掛かったのでそういう施術をしましたが、もし前屈で右側の腹部を押さえても症状に変化がなければ大腰筋にアプローチしてもあまり効果が得られないことになります。
大腰筋は深い位置にあるので見つけにくく、きちんと押すのも難しい面があります。
詳しくお知りになりたい方は当院にご連絡下さればお伝えさせて頂きます。

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茨城県土浦市鳥山４−１９３５−１１
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（ 『ビワと健康』 　２０１９年４月１５日号）

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