帯状疱疹の神経痛が劇的に改善

兵庫県神戸市　びわの葉庵　柳生雅子　代表

今回は６９歳の男性の帯状疱疹が、２回の施術で改善したという事例をご紹介したいと思います。

帯状疱疹は、ヘルペスウイルスの一種である水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされます。
このウイルスは、初めて感染したときは、水疱瘡を引き起こし、患者の体内で抗体が作られて治癒した後は末梢神経の神経節に潜伏します。ですから、ほとんどの人が神経節の中にウイルスを持っているわけです。
病気や加齢、疲労、ストレス、ステロイドなど免疫力を落とす治療などによって免疫力が低下すると、ウイルスが再び活性化して増殖し、知覚神経を通って表面の皮膚に作用し、帯状疱疹として発症します。
そのため、まず前兆としてピリピリした痛みや違和感があり、それから赤い発疹と水ぶくれができ、強い神経痛のような痛みを伴うようになります。

余談ですが、現在では、目まいや偏頭痛もヘルペスウイルスが原因と言われるようになっています。世界頭痛学会というのがあるのですが、そこではそういう認識になっていて、研究発表もされているようです。
ですから、みんな湿疹が出るから帯状疱疹だと思っていますが、実際にはいろいろなところに作用しています。専門の先生が、目まいや偏頭痛があった場合はヘルペスかどうか調べてほしいとおっしゃっていました。
帯状疱疹が厄介なのは、皮膚の症状がおさまった後、神経痛が長期間残るケースがあることです。人によっては日常生活に支障を来すこともあります。今回の男性もそうでした。

痛みで夜も眠れない

この方が発症したのは４月２０日のことだったそうです。お腹のあたりがヒリヒリ、チクチクするようになったので、皮膚科で受診しました。
その時点ではまだ湿疹は出ていなかったので、医師からは「まだ抗ウイルス薬は投与できない」と言われました。しかし、ご本人は製薬会社に勤めていた人で、ヘルペスや帯状疱疹などが専門だったので、頼み込んで抗ウイルス薬を出してもらったそうです。
その後、右の臀部に湿疹が出てきたのですが、痛いのはお腹のほうだったそうです。鼠径部の少し上のあたりに刺すような痛みがあり、夜も寝られなくなったため、抗ウイルス薬と一緒に鎮痛薬を処方してもらいました。
それでも痛みは全然治まらなかったので、神経ブロック注射をしてもらいました。でも、１回目は２〜３日痛みがおさまったそうですが、２回目はまったく効かなかったそうです。
因みに、神経ブロック注射については麻酔とステロイドなので、逆にヘルペスウイルスが増えるという説もあるようです。

さて、この方は以前、お母様が私のところ通ってきておられ、その際に車で送り迎えをしていたというご縁がありました。ビワ療法についてもとても理解がある方です。
お母様が来られていた時に作ったビワのエキスがあったそうで、私のところに「ビワエキスは痛みに有効ですか？」と聞いてこられました。
それで、「しみるかもしれないですが、塗るか、ガーゼに染ませて貼って、その上から温めてください」とお伝えしました。
しかし、患部に塗ったらヒリヒリしみて、刺激が強すぎてダメだったそうです。５月に入って「施術してほしい」と連絡がありました。
その週の日曜日にいらっしゃったのですが、患部が擦れただけでも痛くてパンツもはけず、薄い腹巻きをパンツの代わりにしているという状態でした。
歩く時はもちろん、その日は車でいらっしゃったのですが、運転する間もズキンズキンと痛みがあって本当に大変だったようです。
話を聞くと、いちばん大変なのは夜眠れないことということでした。抗ウイルス薬を飲み、鎮痛剤も飲んでいるのに、刺すような痛みで眠れないというのです。

ストレスが原因か

Ｏ−リングテストをすると、肝臓と脾臓が反応したので感染状態はわかりました。しかし、一番開いたのはみぞおちの太陽神経叢のところでした。それで、これは完璧にストレスだと思いました。
実はちょうど１年前、お母様が亡くなっていました。
この男性はお母様がお元気なときも、入退院を繰り返すようになってからも、毎日のように実家に行って、足をマッサージしたり、お世話をしていました。
帯状疱疹を発症する１ヶ月前にはお兄さんが急死していました。お兄さんは既に奥さんを亡くして一人暮らしだったため、その後片付けも全部されたそうです。
そんな状態で、発症するまでの１ヶ月ほどは、１１時頃には寝るのですが、３時〜４時ぐらいには目が覚め、それから眠れないので睡眠時間が短くなっていたそうです。
睡眠時間が短いと、後頭部の首の上の頭蓋骨の端あたりがむくむのですが、やはりこの方もそこがむくんでいました。でも、本人は交感神経が優位だったからか、睡眠時間が４〜５時間しかないのに、それほど気にしていませんでした。そういう状態で発症したと思われます。
しかも、もともとジムなどに通って運動する方なのですが、発症してからは歩くだけでも痛いので、あまり出歩かなくなっていたそうです。
足もすごく冷えていて、全体に流れが悪くなっていました。右の方に帯状疱疹が出ているのですが、特に右足の流れが悪い状態でした。ですから、患部はもちろんですが、足から流れをよくする必要がありました。

そこで足の肝経を鼠径部までずっと当てていき、裏側の膀胱経もしっかりやりました。特に右側は丁寧に当てていきました。
そして患部ですが、お尻のほうの湿疹はほとんど落ち着いている状態でした。まずそちらに当てていき、それから痛みのある部分をゆっくりやっていきました。
鼠径部からお腹の上あたりがピリピリ痛むというので、足の付根からお尻にかけての坐骨神経のライン、それから鼠径部からお腹のあたりを丁寧に当てました。
右の骨盤あたりが冷えていて流れが悪かったので、流れをよくしていきました。
それから背中に当てていきました。先ほども言ったように後頭部にむくみがあるので、風池や天柱のあたりにもしました。
その上が目のラインですが、目も疲れていたので、そのあたりにも当てました。
後は基本のツボで、やはり肝臓や脾臓、お腹のあたりをしていきました。
さらに、私はレイキもやっているので、一応後頭部を緩めておこうと思い、最後に後頭部に手を当てていたのですが、その間に５分か１０分ほどでしたが本当にぐっすり寝られたのです。
それまで緊張が取れてなかったのだと思います。大抵の場合、眠られたら成功なのですが、それが１回目の施術でした。

「数時間爆睡した」

Ｏ−リングをして「ストレス」と言ったときは、「えっ？」という反応で、ご自身は元気と思っていました。
でも、「やっぱり睡眠とか本当に大事なんですね」というので、「３〜４時に目が覚めても、そのまま起きてしまわずにもう一度寝てください」と言いました。
非常に頑張り屋な方ですし、自分の体を過信して、体の声を聞くということもなかったので、「今までは頭と心を優先してこられたのですけど、これからは体の声も聞いてあげてください」とお話しました。
それから、患部が衣服で擦れただけでも痛いため、できるだけ家に籠もっているという話だったので、「流れが悪くなっているから、無理のない範囲で歩いたり足を動かしてください」とも伝えました。

帰宅されてからメールを頂きました。「痛みはまだ残っているけど、勢いよく大量のおしっこが出て、それから寝落ちして数時間爆睡した。それで、いい方向に向かっているんだなと思った」というような内容でした。
それが最初にいらっしゃた日曜日で、それから２日続けて鎮痛剤なしで寝られたそうです。非常に喜ばれ、もう一度近いうちに施術してほしいということで、次の日曜日にも来られることになりました。

２回目来られたときは、流れがずいぶんよくなっていました。
それで前回と同じように足と患部を丁寧にやっていきました。睡眠を取るようにされていたので、今回は寝落ちすることはありませんでした。
そして２回目の施術の後、２日ほどして、「痛みがほとんどなくなりました」というメールが来たのです。
「１ヶ月間、疼痛との戦いで自宅に籠もりがちだったので、これから元の体力に戻していきます」ということでした。そして「睡眠の重要性と、足の力を鍛えることの大切さについて認識を新たにしました」とも書いてありました。
ヘルペスや帯状疱疹は、早めの段階で熱を入れると効果があるということを本で読んだことがあります。早い段階でビワ温灸をしたのがよかったのかも知れません。
２回の施術で痛みが治まり、とても喜んでおられたので、本当によかったと思いました。

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◎「びわの葉庵」に関する体験談
（ 『ビワと健康』 　２０２４年７月１５日号）

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