ガンはもっと幸せに生きるためのメッセージ
『ガン生還者に学ぶ会』 福浦さゆり さん
地元長崎で『ガン生還者に学ぶ会』という小さな患者会を立ち上げてから、お陰様で１２年がたちました。月に２回の勉強会と年に２回（４月と９月）の講演会を続けています。患者会を始めたきっかけは、２１年前に私が卵巣ガンで入退院を繰り返していた時、同じ病室だったＫさんとの出会いです。Ｋさんとは不思議な縁があって、私は治療のために３度入院したのですが、ちょうど同じタイミングでＫさんも再発のために３度入院していました。
Ｋさんはカトリックの信者で、マリア様のように優しくて、いろいろな人の相談を受けたりして、何というか光のような存在でした。残念ながら入院中に治療半ばで亡くなったのですが、亡くなる前に病院の庭を一緒に散歩していた時、「自分がもし天国に行ったら、空の上から同じ病気の人を励ましたい」とおっしゃいました。もう自分は助からないと思っていたのでしょう。
実は私も腹膜播種といって、病院の標準治療をしても完治は難しい状態で、結構危なかったのです。でも、私は元気になりました。
そして、元気になるにつれ、Ｋさんがおっしゃったことを思い出して、生かされている私はこの手足を使って彼女のお手伝いをしたいと思うようになりました。
そこで思いついたのが、再発・転移など厳しい状況から生還した人の体験談を聴くことができる場所を作ることでした。私自身がそうだったのですが、ガン患者を励ますのは生還者の生の体験談です。
よく「早期発見、早期治療」と言われます。そして、手遅れになると、ちょっと難しいという言われ方をします。そうすると、進行している場合は「じゃあ、自分はもう助からないのか」と思ってしまうのです。
それで、私はガンがわかったとき、それでも治ったという人に会いたかったのです。そして、実際に２人の方に会うことができました。
一人は５４歳で前立腺ガン（４期）になり、骨にも転移していたという人です。骨盤と背骨に転移していたのですが元気になり、話をした時には８０歳近くでした。
もう一人は近所のお婆ちゃんで、３０年前に子宮ガンの４期でしたが、今は元気にしているという人でした。
そういう人に会った、直接その人から生の声で体験談を聴いたということが、すごく励みになりました。それで、自分も自分がして欲しかったことをしよう、それが自分にできるお手伝いだと思って、患者会を始めたのです。
自分で原因を探し出し、改善していく
１２年間、患者会の活動をしていてつくづく思うのは、「ガンはとても個人的な病気だ」ということです。患者会でいろいろな生還者の方に会う機会がありましたが、やはり共通しているのは、ガンになった原因を自分で探して、自分の生活を変える、あるいは心の持ち方を変えるなど、自分にできることをやっていくということです。
ガンは免疫力が落ちることでなると言われていますが、その原因はそれぞれ違います。食べ物でなる人もいるし、ストレスでなる人もいます。働き過ぎが原因の人もいればが、何もしないで代謝が悪くなる人もいます。ヘビースモーカーでも肺ガンにならない人もいれば、タバコを吸わないのになる人もいます。
ガンになった原因、自分のウイークポイントというのはそれぞれ違います。だから、自分でその原因を探し出して、改善していく必要があると思います。
それにプラスして「自助療法」、例えば食事療法だったり、私の場合はビワ療法だったりするのですが、それを患者会の中では自分の体験としてお話しします。
では、それをしなければ治らないのかというと、それはまた違う。最初は何をどうすればいいかわからないので、いろいろな人がやったことを参考にするでしょうけど、やはり原因も体質も人それぞれ違うので、自分なりに工夫が必要だと思います。
その一例として、患者会に来られたＮさん（５６歳女性）の事例を紹介したいと思います
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Ｎさんは６年前に乳ガンで手術と抗ガン剤治療をしました。しかし、元々アレルギー体質であったため副作用がひどく、抗ガン剤治療を途中で中止しました。ところがその１年後に、今度は卵巣ガンが見つかったのです。
ＣＴ画像を見た医者からは「初期ではなさそうなので、術後は抗ガン剤治療が必要になると思います」と言われました。でも、１年前も途中で抗ガン剤治療を止めているので、これ以上の抗ガン剤治療は体力的にも無理です。
まだ体力が戻っていなかったので、手術までに２、３週間の余裕がありました。そこで、彼女にこれまでの生活を振り返ってもらい、とりあえずできることをしっかりやることにしました。
まず食事を玄米菜食に変えました。彼女は大の甘党だったので、それも控えるようにアドバイスしました。また、毎日歩くようにしてもらいました。また、ビワ温灸器を購入して、毎日自宅でビワ温灸をしました。一度、試しに「これはいいですよ」としてあげたら、自分でも効果を実感していたので、「週に１回誰かにしてもらうより、自分で毎日するほうがいいよ」と言ったら、ぜひ自分でもしたいとおっしゃいました。
もう一つ大きかったのは、心の持ち方が劇的に変わったことです。
Ｎさんの最初の乳ガンは、トリプルネガティブといって、ちょっと厳しいタイプの乳ガンでした。それで抗ガン剤治療をすることになったのに、途中で止めてしまった。それからは恐怖心で、ずっと落ち込んでメソメソ泣いていたのです。
それで１年後に卵巣ガンですから、もう後がなくなったのです。生きたいのか、死にたいのか。クヨクヨしていたって、悪くなる一方です。そこで「これではダメだ」といって、それからピタッと愚痴を言わなくなりました。
私も「もう背水の陣で、チャレンジするしかない」と言いましたけれど、最後はやっぱり自分自身です。やっと目が覚めたというか、火がついたというか、「自分は絶対治したいんだ！ メソメソしている場合ではない！」と心が切り替えられました。だから、自分で積極的に生活を変えていったのだと思います。
そして、手術でお腹を開いてみたら、ガンの広がりがなくなっていて、患部をきれいに切り取ることができました。それで抗ガン剤治療をせずにすんだのです。
もう一つ、彼女は歯周病の治療もしていたのですが、ガン治療でいったん中止になっていました。ところが、食事を変えたおかげでそれも治ってしまったのです。
それ以来、彼女は日々の生活の中で自分で取り組めることがあるんだということを実感し、今も再発することなく元気にしています。患者会でも講演会の時などいろいろお手伝いをしていただいています。
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ガンは厳しい病気ではありますが、ただの悪者ではなくて、心身ともにもっと幸せに生きるためのメッセージだと思っています。そのことを、体験談を通して、深刻にならずに、でも真剣に、地元長崎でこれからも伝え続けていきたいと思っています。
◎連絡先（メールアドレス：yokunaru@mxa.cncm.ne.jp）
●「ガン生還者に学ぶ会」のホームページはこちらです。
◎福浦さゆりさんの紹介記事
◎福浦さゆりさんの体験談 （ 『ビワと健康』 ２０２３年９月１５日号）
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