ガンの放射線治療の後遺症が緩和
大阪府枚方市 ハーブローズ 福岡直子 代表
もう１４〜５年のつきあいになる患者さんについてご紹介したいと思います。この方は今年７８歳になる女性です。２００７年に大腸がんを患いました。いろいろなところに転移したのですが、手術を拒否し、自由診療で放射線治療をされました。
初めていらっしゃったのは放射線治療をしている時でした。症状的には強い冷えがあり、自律神経の乱れもありました。夜、眠れないという症状もあったようです。
食べることが苦痛で、朝は食べないことが多く、だんだん体重が減っていくので、「心配なんです」と言って、うちにいらっしゃいました。
驚くほどの体力のなさで、げっそり痩せており、初めて入ってきたときには階段を必死に駆け上がってきたのだろうかと思うような状態でした。病院では匙を投げられ、「一年の寿命」と言われていたそうです。
その頃はまだビワを導入しておらず、リフレクソロジーだけだったので、「私のできる範囲でやらせてもらいますね」と言って、１週間に１回の程度のペースで来ていただきました。
足裏の施術はもちろんですが、話をする時間を長く取って自律神経にアプローチし、元気になっていただくという方法も使い、少しずつ改善していきました。
その後、私がビワ温灸に出会い、店に取り入れました。それでこの方にも「ビワ温灸に移行しましょうか」とお勧めし、今もビワ温灸を続けています。
足裏だけでも血流をよくするので、だんだん体の温かみが帰ってきて、体の体調もよくなります。
そこにビワ温灸を使うようになって、さらに調子が良くなりました。ビワ温灸は体に直接熱が入り、奥まで浸透します。それがものすごく気持ちよかったのだと思います。
冷えがひどくて、夏でもカイロが必要という状態だったのですが、かなり改善して調子のいい時はカイロがなくても大丈夫になりました。
また、私のところでは施術の時に温熱のマットを敷き、その上に服を脱いで寝てもらっています。その時のマットの温度を一つのバロメーターにしています。
以前は一番高い温度に設定していましたが、だんだん低くなり、今では一番低い温度になっています。そういう変化を見て「ああ、変わってきているな」というのを実感しています。
髪の毛も生えてきて、体調もだんだんよくなり、ついにはご本人の希望であったイタリア旅行にも行くことができたのです。
横になることができるということでファーストクラスを使われましたが、一人での旅行でした。最初は絶対に無理だろうと言われていましたから、本当にすごいなと思いました。ご本人自身もすごく努力されています。添加物が入ると体の冷えが発生するということで食べ物にはすごく注意されていますし、野菜なども無農薬のものを食べています。そういう努力もあって、どんどんよくなっているのだと思います。
施術は２時間じっくりと
施術は、通常は４０分ぐらいが妥当なのですが、この方の場合、なかなかそれだけでは無理なので、ほぼ２時間ビワ温灸を当てています。それにプラスして足裏を１５分程度、その間にお話をしていると３０分ぐらいになるのですが、今もそれを２週間に１回程度のペースで続けています。
ビワ温灸を当てた後に足裏をすると症状が緩和されるので、すごく相乗効果が出ているという感じがあります。
温灸は、自律神経の不調を苦痛に思っているので、主に背骨や肩甲骨のあたりをしっかり当てています。頭部にもしっかり当て、顔にも少し当てます。骨盤やお腹あたりも、がんが再発しないようしっかり当てています。
ただ足には十分に当てることができていません。足にまで十分な時間をとると３時間ぐらいになってしまうため、できるだけ背中や腹部を優先するようにしています。
もう一つ大切なのが、放射線を照射していた肋骨のあたりです。
放射線治療というのはその部分のがんを消滅させるということです。照射した部分は皮膚が焼けただれてしまってケロイド状になっていて、場所によっては膿が溜まったり、汁が出たりしています。
ご本人も気にされていて、「ごめんね。こんな汚い体を見せて・・」と私におっしゃるのです。
私はそれほど気にならないので「全然そんなの大丈夫ですよ」と言うのですが、やはりご本人にはショックを受けた部分が残っているようです。
しかも骨と肉が癒着したり、肝臓などの内臓が肋骨によって押されたりして、不快になったり、痛みが伴ったりしています。
そういったところにも、慎重に考えながらビワ温灸を当てるようにしています。ご本人に「当ててみますね。今日はどうなるか、教えて下さいね」と言って、まず周囲にしっかり当て、傷口もジュクジュクしてないところに軽く当てたりします。
すると、ご本人が「肋骨のあたりが熱くなるけど、すごく気持ちがいいのよ」と言います。軟らかくなって、骨に癒着したことによるつっぱりが緩和されるようです。
私も骨から癒着をできるだけ離したい、楽にしてあげたいという気持ちがあります。なので足裏も肋骨のところをずっと触れていますし、ビワ温灸もどうすればつっぱり感を緩和できるか、癒着を剥がすことができるかという思いで当てています。
気持ちがいいというのは骨と肉とのつっぱり感が緩むということです。さらに内臓が肋骨によって押されているのも緩むのだろうと思います。ですから、そのあたりは時間をかけてしています。
細胞の復活とかが起きていれば嬉しいのですが、なかなかその答えは出ていません。
高齢という次の段階へ
彼女はいつも、「あなたに出会ってなかったら、私は生きてなかった」とおっしゃいます。本人の努力があってのことですが、「一年の寿命」と言われてから１０数年が過ぎ、一人でイタリア旅行ができるまでに回復しました。
今も２ヶ月ぐらいに１回の割で病院に通っているのですが、ある時、先生から「肺に曇りみたいなものができている」と言われたそうです。
「なんの曇りかわからないけれど、次の検診の時に調べるのよ」とおっしゃるので、「わかりました。ビワをしっかり当てますからね。しんどかったら言ってください」と言って、かなりしっかりと当てさせていただきました。
そして２ヶ月後に病院に行くと、曇りはなくなっていたのです。結局なんだったのかはわかりませんでしたが、結果が出るまで放置することはできません。でも、手術をすることも放射線を照射することもなかったので、結果的によかったというのは間違いないと思います。
ただ、最近は年齢的な問題もあって、２時間もビワ温灸を当てて負担にならないだろうかという不安があります。
また、寝る時に放射線を放射した部分を下にすることができず、１０数年間、同じ方向を向いて寝ていました。そのため、肋骨のあたり変形してきています。
元気な時にはよく買い物に行ったり、遊びに行ったりしていたのですが、それもできなくなってほぼ自宅での生活になり、体力的にも弱ってきている感じです。
ただ、そういうご自分の状態に対する「不安だな」とか「悲しいな」という気持ちが自律神経に影響を及ぼす部分があります。ですから、施術はもちろんですが、お話をメインにして自律神経を上げていくという方法を採り、元気になって帰っていただくようにしています。
とはいえ、今までとは元気の質がちょっと違ってきています。さらに高齢になっていくということで、私自身の勉強としてもいろいろな症例を見させていただき、智慧を出していかなければならないなと考えています。
◎ハーブローズ
大阪府枚方市南楠葉１−１４−７−１３
ＴＥＬ：０７２−８５７−８８７１
◎「ハーブローズ」に関する体験談
（ 『ビワと健康』 ２０２２年７月１５日号）
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