健康迷子のためのカラダのお悩み相談どころ
家庭療法の店 笑空 田中水恵 代表 インタビュー
家庭療法の店 笑空の田中水恵代表は、「お家で不調を根本改善」をモットーに、「健康迷子」にならないための「カラダのお悩み相談どころ」として活動しています。千坂式食療法、薬膳、分子栄養学などを総合的に組み込んだ食性コンサル、温熱療法、民間お手当などを案内、さらにビワ温灸も取り入れ、ご自身やご家族も愛用しているとのこと。
これまで会員向けの商品発送を中心にしてきましたが、今年２月、埼玉県滑川市に店舗をオープンすることになったそうです。
自身が健康迷子で体を壊したという体験から、自分が本当に知りたいことを発信しているという田中代表にお話を伺いました。
- 食療法というと、やはり玄米菜食が中心ですか？
千坂式の食療法で健康迷子になった方をご案内しているのですが、実は玄米が合う方もいれば、合わない方もいます。普通炊き玄米を食べるとかえって体が悪くなる方もいます。
ですから、玄米を推奨していて、それを仕事にしているのですが、玄米を勧めない方もいます。
例えば、胃腸が弱い方などは玄米の硬い繊維に負けてしまいます。しかも、現代人は噛む力も弱くなっていますし、私たちは「血液力」と呼んでいるのですが、血液に力がないので、消化力もない方が多くなっています。そういう方が硬い繊維の玄米に負けてしまうんですね。
だから、合う方は元気になっても、合わない方は反対になってしまう。
ただ、炊き方によってまったく違う食べ物になるのが玄米です。そういった方が食べられる食べ方があるので、それをお伝えしています。
- 一般にイメージされている食事療法とはちょっと違うようですね。
全く違いますね。食べ物は食べる人によって長所にも短所にもなります。
自然食品しか食べてない方ががんで来ることもありますし、お肉をいっぱい食べて元気になる方もいらっしゃいます。本当に食事は百人いたら百通りです。
持って生まれた体質と、今までどんな食事をして病気になったのかというのがすごく大事です。でも、そこが抜けてしまって、健康法を頑張っているのにかえって体が悪くなるっているというケースがすごく多いのです。
それは私自身も体験したことで、そういう健康迷子になっている方の「からだのお悩み相談どころ」という感じで活動しています。
- ご自身がそういう体験をされた？
私は健康オタクで、すごく頑張っているのにカラダがどんどん低下していくという経験をしました。
例えば一時期、青汁健康法とかにもはまったのですが、その時に前髪が全部抜けちゃったんですね。
青汁は陰性で、体を冷やして細胞を緩ませる食べ物です。肉食中心で血液がみなぎっている方が摂ると中和されていい方向に行くかも知れませんが、陰性体質の私がそればっかり摂っていたからどんどん低下してしまったのです。
私は自分の体質も知らないでいろいろなことをやってしまったので、どんどん低下してしまったのですね。本当に自分の体質を知らないというのは困ったことです。
- ご自身の体験について詳しく教えてください。
２０代まではすごく元気で、いろいろなスポーツもしていたのですが、男の子３人を出産した後にどんどん低下してしまいました。低血圧、低体温の倦怠感、無気力、気分の落ち込みなど、常に不調に悩まされる体になってしまったのです。
そういうこともあっていろいろな健康法を試したのですが、試せば試すほど体がどんどん低下してしまいました。今ではその理由も全部わかるのですが。
- どんな健康法をされたのですか？
例えば一日一食とか。あれは体が陽性の、しっかり体力がある方がやるもので、私のような栄養素の足りない人がやったらさらに悪くなっちゃうんですね。また、今思うと、食べ物でいうと陰性の代謝を下げて体を冷やす野菜ばかり食べていました。
どんどん悪くなって、本当に極度の貧血で、ヘモグロビンが6.8ぐらいまで下がりました。心臓が苦しくなり、縄跳びは１０回も跳べませんでした。膀胱が落ちて押される感じで、体力が底まで低下していました。
そんな時に知り合ったのが、全国から難病の方が集まるような治療院の先生でした。そして、その先生が千坂式の食療法だったのです。
そこに行って体をケアしてもらいながら、自分の体験も活かしたいということで治療家になりました。それが４２歳頃のことです。
それから５年ほど治療家をしたのですが、お客様の体をする以前に自分の体がどんどん悪くなってしまいました。
また、お客様が来て治療をすると、その時は体が楽になったと喜んで帰るのですが、また悪くなったと言って来る、その繰り返しに疑問を持つようになりました。
自分の体が極度の貧血になったこともあり、これは生活を変えないとよくならないと思い、治療家をやめました。そして千坂式の代理店になったのが４７歳の時です。
- 千坂式食療法を知ったのは治療家になる前でしたね。
はい。何となく知っていて、何となく取り入れていました。でも、４７歳の時をきっかけに、しっかり勉強しようと思いました。
会員数ゼロから始めたのですが、今は沖縄から秋田県までいろいろなお客様が会員になってくださっています。
そして、やはり食事だけでは足りないところもあるので、里芋湿布や生姜湿布といった民間お手当などもしています。
- お手当は自然療法の？
似ているところもありますが、長年の経験から生まれた千坂式独自のお手当があります。
自分の家庭で自分の体の面倒を見ることができるようになるというのが私の目標だったので、お客様にそのやり方を伝えるほうに回りました。
あとは治療師だったときに自分が勉強したことも活かし、温熱療法（遠赤外線サウナ）なども取り入れています。
- ビワ温灸を取り入れたきっかけは？
母が東城百合子先生のところでちょっと勉強をしていて、私も子どもの頃にビワの葉温灸をよくしてもらいました。当時はもぐさを使っていましたが、その心地よさは何十年経った今も覚えています。苦しいときに、母の愛情を感じました。
それでビワの葉のことは知っていましたが、私自身はしていませんでした。
ところが、お客様でちょっと病気のつらい方がいらっしゃいまして、その方が家庭で簡単にできるケアがないかと探していたときに、先輩の代理店さんがビワ温灸を教えてくれたのです。
お客様にご紹介するには、自分でもやってみないとと思って試してみるとすごくよくて。それから家族みんなで使っています。私や主人、子どもたちももちろん、愛犬にも大活躍です。若い長男夫婦も購入して体調管理をしています。
- ビワ療法を取り入れた最初のきっかけはお客様が手軽にできる治療法として、そして、ご自身でも使ってみたと。
家庭療法のお店なので、お家でできるものを、と。火を使わないし、手軽に体も温まるし、これなら体の具合が悪くてもお家で使えると思いました。
そして、最初はやり方がわからないので何回も普及会に電話をして質問したら、うちに来てくださってやり方を教えて下さいました。それならきちんと習おうと思い、普及会に行って講習を受けました。
ビワ温灸に限らず、健康食品でも何でもそうなのですが、ちゃんと使えるようになって、活かされるようにしなければもったいないと思っています。食事も、合わない食事もがんばってもしかたがありません。
ですから、お客様が購入された後でも、それがきちっと使えるようになるということを大事にしています。
- お話をうかがって、千坂式の食療法も非常に興味深いと思いましたが、基本的な考え方を簡単に教えていただけますか？
千坂式メソッドは過去５０年間、１０万人以上の方の統計を取って、それを分析した食事療法です。
何を食べたときに、どのようにカラダに生かされるかをまとめ上げた「食べ物とカラダの方程式」です。食べ物を善い悪いで判断せず、食べ物全体の性質を見ます。
例えば、よく血液をサラサラにとか、血液をきれいにと言いますが、血液はきれいなだけではダメです。千坂式では「血液力」といいますが、濃くて力が満ちてないと生かされないのです。
一般的にいう野菜は血液をきれいにするけれども、冷やしてしまうものが多かったりします。
食べ物には長所と短所があり、食べる人によって変わっていくので、血液力を目指す食べ物、食べ合わせが必要になります。
そのために、食べ物を陰と陽、酸と碱という四つに分け、それを説明しています。
陰は代謝を低下させ、体を冷やす食べ物、これは食べた後、体の中でどうなるかまで見たものです。
陽は食べた後で体を温め、代謝を上げるもの。
酸は食べた後に血液を汚す食べ物で、碱は血液をきれいにする食べ物、ですからｐＨではありません。
そして、変動的な世の中でも自分の体質に合わせて、食べ合わせを自分で選んでいけるというのが千坂式ですね。食べ物を善い悪いで判断せず、食べ物全体の性質を見ていきます。
- 素人考えだと陰・酸が悪くて、陽・碱が善いと考えがちですが、そうとは限らない？
限らないです。ただ、現代ではどうしても陰酸といって血液の汚れている方が多いので、陽碱というエネルギーをお勧めすることが多いのです。
でも、例えばアトピーなど血液が薄くて汚れて力のない方に、いきなり強いエネルギーを入れても負けてしまうんですね。
なので、食べ方は本当に百人いれば百通りです。
- それは、やはり専門の勉強をされた先生のところで、それぞれの人に合わせてアドバイスをもらう必要があるんでしょうか？
いいえ、すごく簡単で、小学生でもわかる表になっています。
むしろ子供のほうが「うちのご飯、陰酸ばっかりだね」とか「給食って陰酸だらけだね」とか、余分な知識が入ってないので取り入れやすいほどです。うちの三男もまだ１０代ですが、自分で調整しています。
ですから、本当にこれは家庭の中に浸透して欲しいなと思っています。そうすることで、健康情報に振り回されず、自分に何が必要なのか、何が過剰なのかを見ることができるようになります。 基本的に、食べ物に善い悪いはないと思っています。そうでなければ、ケーキはただ悪者でしかないことになってしまいます。
でも結婚式に食べるケーキはおめでたいものだし、子どものお祝いのときにお祝いのものを食べるのも大事なことです。食べることを楽しくしてもらいたいと思いますね。
「子どもに何を食べさせたらいい？」の前に、幸せな空気に包まれて食べること。食は命の材料であり、人と人を繋げる時間です。
食べることを疎かにせず、怖がらず、安心と食べることへの喜びを感じ、幸せビームをバンバン出したら、それが一番の栄養だと思います。
- 食べ物全体の性質を知ることで、それが可能になると。
そうです。そして、自分は病気だからこれはちょっと減らそうとか、自分で調整できるようになるのが大事だと思います。
例えば生姜や酢はすごく陰性が強いのですが、一般には健康的なイメージがあって、体が冷え冷えなのに毎日お酢を一杯摂っている人がいたりします。
でも、お肉のような陽性と組み合わせると、酢は活かされたりするわけです。
もともと病気治しを中心とする食療法なのですが、私は一般の家庭に千坂式の食べ方の方程式を広めたいと思い、この仕事を始めました。
- ところで、２月に店舗をオープンするそうですね。（＊このインタビューは24年12月に行いました）
はい。これまでは店舗を持たず、会員向けの商品発送を中心に行ってきたのですが、コロナを通じて直に会うってすごく大事だなと感じました。それで、来れば直接説明が聞けるという場を作りたいと思い、自宅の一部を改装して店舗をオープンすることにしました。
ここに来れば、お手当の商品も揃うし、やり方もわかるので、家に帰るとすぐにできると。
ビワ温灸も体験したいときにはどうぞ、という感じでやろうと思っています。（普段は事務所で、金・土曜日を中心に開く予定です）
- 長男さんもご一緒に活動されていると伺いましたが。
はい。長男は今２５歳ですが、千坂式の本社で働いています。高校を卒業したとき、社長に「働かせてほしい」と直談判したのです。
それからいきなりいろんな病気の方を見たので大変だったと思うのですが、やはり若いので吸収が早く、現場のお客様の声を聞きながら、本当にいろいろな方の対応をしています。
それに加えていろいろな方に勉強させてもらい、千坂式にプラスして栄養学と薬膳、量子力学なども取り入れたオーダーメイドの食事をお客様にご案内しています。
その長男が私のところも手伝ってくれ、難しい病気は息子が担当で、私は生活習慣や家庭療法、お互いに協力しながらやっています。
- 千坂式に限らず、いろいろなものを取り入れているんですね。
そうですね。やはりいろいろな問題で病気になっているので、食事だけでも難しいのです。
放射能もそうですし、電磁波もそうですね。心の問題もありますし、今は薬の影響も大きいと感じます。全体から見ていかないと難しいと思います。
西洋医学も大事なので、病院に委ねるところは委ねて、頑なに自然療法がいいと言い切る感じでもありません。
- 西洋医学の得意な分野もありますしね。でも、やはり病気にならない体にすることが大切ですね。
それはすごく大事だと思っています。
特にこれから赤ちゃんがほしい方は、産む３年前から食事を見直してほしいなと思っていますね。
- ３年前からですか？
昔の方は血液がしっかりしていたのですが、今は親世代に血液力がないので。そこから生まれた子どもはさらに・・。血液力のない親から生まれると、生まれた時点から大変なのです。
親の血にしっかり力があれば、子どもにしっかり栄養を届けることができます。
- 若い女性にはぜひ実行してもらいたいと。
はい。本当に。
それから、ビワ温灸が婦人科系などに強いというのはすごく便利なので、そういうお手当もしてもらって、自分の体を自分で面倒見られるようになり、できることなら薬に頼らない体になれるといいですね。
それからダイエットプログラムも始めました。
- ダイエットですか？
今、ダイエットで体を壊している人がとても多いのです。食べないで、栄養失調の方がたくさん。
先日も、２０代で３０ぐらいのまで血圧が下がったという子がいました。
ですから、代謝を上げて、その結果痩せるという元気なダイエットをやりたいなと思っています。
- 最後に、読者の皆さんにメッセージがあれば。
極度の貧血も薬に頼らず５０代で正常値になりました。１０回も跳べなかった縄跳びも、今では１００回跳んでも大丈夫です。
私自身が健康迷子でカラダを壊した経験から、自分が本当に知りたかったことを発信しています。
食べることは、どう生きるかにもつながります。ポチッと何でも買える世の中で、健康迷子にならないよう、健康が目的ではなく、そのカラダで何をしたいか、どう生きたいか。
生涯現役、家庭が安心の場所になるよう、そして次の世代につなげていくために活動しています。
埼玉県比企郡滑川町伊古１００５−２
ＴＥＬ：０９０−６１７１−３３１９
Email: info.warakara@gmail.com
（ 『ビワと健康』 ２０２５年１月１５日号／２月１５日号）
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